Story 04

“ラーメンからロケットまで”
インスタントラーメンを世界に拡げる商社の仕事

2019年8月2日 取材

治安と言語面での現地サポート、
またその国の商習慣に精通していることが強み

1964年に設立した株式会社冨士製作所(本社工場:群馬県藤岡市)は、インスタントラーメン製造ラインの設計・製造・販売から現地での立ち上げまで、トータルでサービスを提供する機械メーカー。
納入地域は46カ国、800ライン以上の実績を持つ。丸紅テクノシステムと冨士製作所は、約40年、パートナーシップを組み世界各地へ設備を輸出している。

インスタントラーメン製造ライン市場において、世界シェア50%以上を誇る冨士製作所。
国内大手の食品会社と直接のパイプを持っている一方で、海外への輸出となると、少し状況は変わってくる。特に、これまでに取引のない、新しい国の新しい企業との取引には、丸紅システムの支援が欠かせないという。
食品製造機械メーカーの海外輸出における丸紅テクノシステムの役割を冨士製作所に取材した。

「一番大きいのは、治安と言葉の部分での現地でのサポートです。あとは取引上の商習慣の違いに関し、現地のクセ、状態について精通している丸紅テクノシステムは、我々にとって非常に助かる存在です」(株式会社冨士製作所・桐渕取締役)

丸紅グループは各国に支社・支店を持ち、駐在員のサポートを受けることができる、また、治安面に関しても前もって情報を入手することが可能だ。

冨士製作所ではカタログ販売ではなく、各国の仕様、各企業の事情に合わせ、オーダーメイドの機械を製造している。

「40年以上のパートナーシップの中で、そうした機械の特性なども受け継がれており、細かく説明しなくてもご理解いただいて、現地と話を進めていただけるのもありがたいです」
(株式会社冨士製作所・桐渕様)

国際展示会への出展など、
丸紅テクノシステムとの二人三脚で成約に結び付けることも

直近では、両社が共同でブースを設け、パキスタンでの展示会出展を予定している。これまでも、トルコやイランなどで、共同で国際展示会への出展をした実績があり、展示会から成約につながったケースもあるという。

新しい国、新しいお客様への設備の納品の場合、冨士製作所では、工場を建てる所からインスタントラーメンの製品開発までサポートするという。
現地の常駐スタッフがいない冨士製作所の担当者だけでは大変な仕事だが、丸紅テクノシステムとのタッグでお客様と綿密なコミュニケーションを取ることができ、数々のプロジェクトを成功に導いている。

「新しいお客様の場合、必ずギャップが出ます。そこを折衝していただけるのは大変ありがたいです。結局、お客様にも成長していただかないと次の成約にも繋がっていきませんので、その国の原料にあった麺の硬さ、太さなど機械の仕様調整は現地の方と丸紅テクノシステムと力を合わせて行っています」(株式会社冨士製作所・桐渕様)

「海外の新規のお客様の場合、インスタントラーメンに対しての知識や経験が全くないこともあります。そうしたお客様のやりたいこと、作りたい製品をどうしたら実現できるのかのサポートをして、お客様のビジネスを成功に導くことも役割の一つです」
(丸紅テクノシステム生活産業事業部 担当部長 井上)

粘り強い情報収集、コミュニケーションがカギ、
商社の存在感はますます重要に

インスタントラーメン製造ラインの場合、毎週のように世界各国から引き合いが来るが、見積もりを出しても成約に時間がかかるケースが多い。
最近成約したアルジェリアの案件もその内の一つと言える。問い合わせから数年が経過していたが、先方は常に興味を示していたため、丸紅のアルジェリア支店とタッグを組み、粘り強く情報収集、情報交換を続けた結果、成約につなげることができたという。

インスタントラーメンの市場は先進国では一巡し、これからの設備導入の主戦場は新興国が中心となる。具体的には、中東、アフリカ、南アジアが熱く、特にアフリカなどはフランス語圏も多いため、言語の壁も高くなる。そのような情勢の中、今後丸紅テクノシステムの役割は非常に重要度が増してくるといえる。

「言語の壁と商習慣の違い、治安の問題などクリアしなければならない部分が多いため、丸紅テクノシステムの存在感は、今後ますます高まっていくと思います」(株式会社冨士製作所・桐渕様)